帰路

帰路

外へ出た途端空気の暖かさに驚く。本当に一月なのかと思うくらい、殆ど春に近いような外気だ。駅へ向かう途中で、生垣の山茶花が枯れ始めているのを見つけて妙な気持ちになった。ぬるい空気に乗って、ガソリンスタンドからオイルの匂いが漂ってくる。それからたばこ。どこで誰が吸っているのだか、ここからは見えない。

駅へ着くと、ホームの壁に大きな窓が取り付けられていることに気づいた。殆ど屋外といって差し支えない駅舎である。一体なんの必要があるのだろうと不思議に思った。窓は大きく開け放たれ、壁の内側と外側とで空気を入れ替えているらしかった。今まで一度も訝しんだことはなかったのに、多分、この季節感のない陽気のせいだろう。見て感じる全てが幻覚のように思える。家の近くまで来た時ふと消毒薬の匂いがした。アルコールの冷たい匂いは今日一番冬に似ていた。

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4 years ago

210523

210523

書棚はその人の心理を表す云々


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4 years ago
Https://www.esquire.com/jp/lifestyle/tech/a33977776/elon-musk-says-settlers-will-likely-die-on-mars/

https://www.esquire.com/jp/lifestyle/tech/a33977776/elon-musk-says-settlers-will-likely-die-on-mars/

先日サンラーのスペースイズザプレイスを観に行った。宇宙探査に世の中が湧いている昨今、誰がどの段階でこの作品を上映しようと企画したのだろう。サービスデーを避けて観賞したが、平日の夜にも関わらず結構な人入りだった。企画する方が企画する方なら観に行く方も観に行く方ってなもんで、シネマカリテ、いいシアターである。


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3 years ago
GRの白黒は最高

GRの白黒は最高


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3 years ago

朝、角を曲がったところで路上に鳩が居て、互いに驚く。信号を待っていると向かいのマンションの生垣に猛スピードでメジロが突っ込んでいき、また飛び出していった。生垣からは色んな鳥の声がしたから、同じメジロかどうかはわからない。


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3 years ago

年始にジョエルコーエンのマクベスを見て、とても面白かった。不吉で滑稽で、作りもののようによそよそしいのに、我が事のように生々しい。なにしろモノクロなのが良かった。黒の禍々しさが映えて、底なしに美しい。光と影。

おかげで原著を読み始めた。マクベスは岩波文庫の木下順二訳が好き過ぎてこれまで原著を読もうと考えたこともなかったが、何がきっかけかわからないものである。言い回しはやはり難しいところもあるが、それを読み進めていくのが面白い。シェイクスピア作品は現代英語訳のシリーズがあるようなので、手に入れたいなあと考えている。


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3 years ago

古い店舗を閉鎖して近くにリューアルオープンしたお店、塗り立てで真っ白の玄関口に使い古した箒が立てかけてあってなんだかいいな、と思った。


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2 years ago

”青痣が残る目の堰が切れた。家の裏、うち捨てられたオイル・タンク、一面の雑草、木の幹。人々が暮らし、去った場所。イーストは涙が涸れるまですすり泣いた。しかし、だからといって、実際には何も変わらないのだ。どんな言葉を聞いても、どんな光景を見ても、どんな思いを抱いても。筋肉のいたずらだ。涙腺が緩んだだけだ。”

Bill Beverly「東の果て、夜へ」早川書房

2 years ago
ノヴァーリスの「青い花」(岩波赤)がKindleにあるのだが、試し読みをクリックすると「岩波版のサンプルはないのでペーパーバック版(独語)を出しときます」と表示されて原著を見せてきたので笑ってしまう土曜。

ノヴァーリスの「青い花」(岩波赤)がKindleにあるのだが、試し読みをクリックすると「岩波版のサンプルはないのでペーパーバック版(独語)を出しときます」と表示されて原著を見せてきたので笑ってしまう土曜。


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4 years ago

http://www.tsukuba-sci.com/?p=3159

例によってナショジオキッズを見ているのだが昨日は熱帯雨林について。temperate rainforest とは何だろうと思ったら温帯雨林のことだった。日本だと白神山地などがそれにあたるらしい。色々見ていたらこちらの記事を見つけた。熱帯から離れるに従って森林の種の多様性が低下するのは、季節がはっきりしているほど結実の時期が種同士で重なるため競争になるという理由らしい。面白い。


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2 years ago

怒りたい時に怒ったり泣きたい時に泣いたりできたのって何歳ぐらいまでだったんだろうな。やめるとか諦めるとか、そういうスタイルがいつの間にか自分の生き方を上書きしてしまった。そうではなかった時期ってどこだったんだろう。20歳頃には完全に目が死んでいたから、せいぜい17、8かそこらまでかもしれない。いやそんなメンタルで高校進学した気がしない。中学と同時に卒業したかもしれない。15歳とかもう記憶がないよ。でもきっと一瞬の喜怒哀楽に生きるか死ぬかという問題が詰まっていて、目の前の何もかもが美しいか汚いかどちらかだった。思春期って楽しいや。

あれから時が経って、負け惜しみみたいなトライアンドエラーを無数に繰り返して、結果修復不可能なエラーの負債を背負いながら乗りたくもない電車を待つ今を今日も生きてるけど。


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  • suisei07
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  • hitujijp
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    um1aut reblogged this · 4 years ago
um1aut - 月刊地獄めぐり
月刊地獄めぐり

ゾンビよ、朝には死んだように眠れ

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